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ダンサー/演出・振付家 熊谷 拓明さん

2015年1月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2014年12月1日時点の内容です

ダンスと異文化が融合した作品を

札幌で基礎を積み、2年間の米国での武者修業から帰国して演出・振付に取り組む、新進気鋭のダンサー、熊谷拓明さん。ダンスと異文化が融合した新しいエンターテインメントの構築を目指す彼の、仕事場である東京のダンススタジオを訪ねた。

渡米経験で自分を知る

その日、東京・渋谷のダンススタジオでは、間近に控えた公演のリハーサルが行われていた。7名のメンバーに振付指導しているのは、札幌出身の熊谷拓明さん。台本があるわけではなく、言葉と全身を使ってステップや動きを伝え、約5分の踊りを創っていく。

熊谷さんがダンスを始めたのは15歳の時。劇団四季の「キャッツ」の舞台を見て「ミュージカル俳優になりたい!」と思ったのがきっかけだった。ダンスを習い始めてわずか3カ月後に発表会があり、それが人生の初舞台。「これがすごく楽しかった。すっかり踊りに夢中になりました」

高校卒業後、ダンス講師として働きながらミュージシャンのライブステージに帯同するツアーダンサーとしても活動を続け、23歳の時に上京。5年後、大きな転機が訪れた。「シルク・ドゥ・ソレイユ」のオーディションに合格して、ラスベガス公演に召集されたのだ。

「後から聞いた話では、当初出演予定だった中国人ダンサーが契約に至らず、その代わりに呼ばれたようです。僕がもし一重まぶたの東洋人っぽい顔立ちでなかったら、別の人が呼ばれていたかも」と笑う。

世界中から集まったアーティスト30名のうち、2年間計800ステージをケガなく無欠勤でこなしたのは熊谷さんただ1人。ところが「来る日も来る日も同じ演目を繰り返す生活は、僕にとっては退屈でした。自分は〝誰かの振付を1パーツとして踊る〟ことに喜びを見いだすタイプではないのだということが、よく分かりました」

写真:『シルク・ドゥ・ソレイユ』公演中に現地で使用していたIDカード。セキュリティーが厳しく、どこへ行くにも携帯していたそう 写真右:『シルク・ドゥ・ソレイユ』の衣装スタッフから帰国の際に贈られた、記念の寄せ書き。中央に熊谷さんのステージ衣装が描かれている

頭で考えることが踊りには不可欠

10年に帰国後、演出・振付に取り組み始めたのは、その経験があったからこそ。自身の公演はもちろん、レッスン講師やワークショップの開催、公演会場のブッキングマネジャーも兼任し、分刻みのスケジュールで精力的に活動を続けている。

ダンサーの仕事に求められる資質を問うと「頭で考える力が必要だと思います。人前で踊ってみせることの意味をどう考え、掘り下げられるかが大切。そして人前で舞台に立つことの怖さを知って、強くなる」

写真:常に持ち歩いている"創作ノート"。頭に浮かんだ振付のアイデアなどはすぐ書き込むように心掛けている

現在、熊谷さんが挑んでいるのは、異分野の仲間と創り上げるパフォーマンスだ。「例えば、彫刻の展示会場で踊るとか、建築デザイナーが手掛けた空間で踊るとか。〝ダンス〟というキーワードと異文化が融合した作品を創っていきたいと思っています」

目指すは、既成概念にしばられない唯一無二の世界。「踊り」の持つ可能性は、無限に広がっている。

写真:熊谷さん作・出演のコンテンポラリーダンス劇『誰が最初に決めたんですか??』(13年5月)より。14年には札幌公演も行われた作品(写真:大洞博靖)

PROFILE

熊谷 拓明(くまがい・ひろあき)

1979年、札幌市生まれ。1995年より札幌ダンススタジオマインドにて宏瀬賢二氏に師事。高校卒業後、同ダンススタジオに講師として勤務。並行して2000年よりミュージシャンのコンサートツアーに帯同するなど、ダンサーとしての活動を開始。02年に上京、04年より東京のダンススタジオに講師として勤務。08年より2年間『シルク・ドゥ・ソレイユ』のダンサーとして米国・ラスベガスに滞在。2年間で約800ステージに出演。10年に帰国後、11年にダンスカンパニー「Body Act Theater」を立ち上げ、演出・振付に挑戦。異分野のアーティストともコラボレートしながら活動の幅を広げている。

INFO

東京・渋谷プレジャーガレージグループ20周年記念ダンス公演『THE PLEASURE』

プレジャーガレージグループ内の各ブランドが集結するダンス公演。熊谷拓明演出の『In a Lifetime』は、バイオリン、パーカッション、ボーカルによる生演奏と衣装アーティストと共に創るダンス作品。

2015年3月7日(土)、8日(日)(全4回公演)
会場:人見記念講堂
(三軒茶屋・昭和女子大学内)
http://odorigokoro.jp/theater/20th_event/

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀  写真:宇都木 章

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2015年1月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2014年12月1日時点の内容です

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