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ブックコーディネーター 尾崎 実帆子さん

2015年4月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年3月1日時点の内容です

本を通して街づくりを

書店以外のさまざまな空間に、ニーズに合わせた書籍を選んで卸す。「ブックコーディネーター」は、ここ数年で生まれた新しい職業だ。いわば、自分の店舗を持たない¨外商・行商型書店¨である。札幌でその肩書きを持つ女性に、現在の仕事と今後の目標について聞いた。

テーマに沿って本を選ぶ

「適本適所」をキャッチフレーズに、札幌では数少ないブックコーディネーターとして活動を続ける尾崎実帆子さん。カフェや洋服のセレクトショップ、イベント会場など、多種多様な空間に、オーナーの好みやテーマに合わせて書籍を提案し、卸す仕事である。

もともと、本が好きだった尾崎さんは、出版関係の仕事に就き、25歳の時、「35歳になったら本屋さんになりたい」という夢を描いた。その年齢を目前に控えた2010年、実現に向けて書店経営者に話を聞いたり、起業者向け講座に参加したりと行動した結果、「当時、ちょうど東京でブックコーディネーターという職業が話題になり始めて。自分で書店を持つのは難しいけれど、無店舗の外商・行商型本屋という形ならできるかも、と思いました」

初仕事は、「室内で楽しむ」をテーマにした器の展示会だった。「器を使った試飲も行いながら、会場をブックカフェのように作ることになり、そこに置く本のコーディネートを担当しました」。ひととき現実を離れリラックスできる本を、というオーダーに、写真集や絵本、小説などを集め、好評だった。

以後、パンのイベントならパンにまつわる本、菓子店の依頼で「牛とミルク」にまつわる本...という具合に、オーダーに沿って本を探す。「情報は常に取り入れていきたいので、書評もよく読みますし、本を特集した雑誌も目を通しますね」。一番わくわくするのは、「仕事で発注した本が届いて、その箱を開ける瞬間」だという。

写真左:これまでにブックコーディネートを手掛けた空間や展示例のアルバムと、イベントのパンフレットのスクラップを持ち歩き、クライアントに提示しつつ説明する 写真中央:自分がこれまで読んだ本以外にも、新情報のインプットのため、書籍に関連する雑誌には常に目を通すよう心掛けている 写真右:学生時代に東京・浅草で購入して以来、尾崎さんが長く愛用している革のトランク。普段、本や資料もこの中に詰めて持ち歩く

本を介して人を知り 新しい世界が開く喜び

また、「本を通した街づくり」を目指す尾崎さんは、10年にスタートした「札幌ブックフェス」の実行委員として活動し、不定期で「ブックチャット」も主催する。これは「贈り物向きの本」「七夕にまつわる本」など、5~6人が設定したテーマに沿って各自推薦本を持ち寄り、会話するイベント。「参加者は皆さん、まるで"わが子自慢"のように、本の良さについて語って下さいます」。本を介して人と知り合い、自分にとって新しい世界が広がるきっかけにもなる。

過去に「美容室や喫茶店で、置いてあった本を読みだしたら面白くて、でも時間がなくて読み切れなかった時に、このまま買って帰れたらどんなにいいだろうと思った」自らの体験も、現在の仕事につながっているという。

最終的な目標は「札幌じゅうの空間に本が置かれていて、手に取れて、買える事。公共施設にも病院にも、お酒のバーにも」と尾崎さん。札幌がそんな街になったら、なんてステキだろう。

写真:札幌のセレクトショップで「海と夏」をテーマにブックコーディネートしたコーナー。絵本、ガイドブック、写真集など幅広いジャンルの書籍を、洋服やグリーンと合わせて手に取りやすいようにディスプレイ

PROFILE

尾崎実帆子(おざき・みほこ)

1976年茨城県出身。国際基督教大学卒業後、法規系出版社に就職。2001年に札幌へ移住し、翌年から(株)コスモメディアに勤務。出版物の広告営業・企画を担当する。10年に退職後、女性向け起業講座を受講。11年よりブックコーディネーターとしての活動をスタートし、現在に至る。札幌ブックフェス(現・北海道ブックフェス)の運営に10年の初回から携わり、12年から副実行委員長。男児2人の母親でもある。

さっぽろブックコーディネート

2015年4/4(土)より、セレクトショップ「zee」(札幌市中央区南1条西24丁目1-6 レクシブ裏参道5F)にて、英国紅茶の発売開始に合わせて、イギリスをテーマにした書籍を展示販売する
http://bookcoordinate.blog86.fc2.com

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:齋藤義典 撮影協力:zee(札幌市中央区)

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2015年4月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年3月1日時点の内容です

raporaはAIRDOが発行する機内誌です。
最新号はぜひ機内でお楽しみください。

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