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写真家/プロデューサー 田中 正文さん

2015年7月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年6月1日時点の内容です

伝えたい景色がそこにあるから

沖縄やカリブ海をはじめ、国内外の水中写真を多数撮り続けてきた男性写真家が、現在、北海道の洞爺湖町に住んでいる。自らプロデュースも手掛けた『洞爺湖物語』3部作に続き、今夏発売されたのが『水族館物語』3部作。舞台となったサンピアザ水族館で話を伺った。

不思議な縁に導かれ洞爺湖へ

初めて洞爺湖を訪れた時の感覚を、写真家の田中正文さんは、今も良く覚えている。「車を運転していて目の前に洞爺湖が開けた瞬間、なぜか故郷に帰ってきたような安心感に包まれて。すぐに、ここに住もうと決めました」

直後の2007年末に父親が急逝し、母親から聞いた話でその理由が分かった。「父がたった一度、生後2カ月の私を胸に抱いた母と3人で家族旅行に訪れたのが、洞爺湖だったそうです。遊覧船に乗った時に、私も湖面を渡る風を肌で感じているはずで、きっと本能がそれを覚えていたんでしょうね」

08年に洞爺湖町に移住。「自分が不思議な縁でここに導かれたのは、まだ訪れたことのない人たちに町の魅力を、発信するため」と、3年間かけて自然風景や生物を撮影した写真集が11年刊行の『洞爺湖物語』だ。

加えて、伊達市在住のピアニスト太田亜紀子氏が演奏するオリジナルピアノ曲とのコラボレーションによる同名DVD、その曲を収録した同名CDによる¨3部作¨として、田中さん自身がプロデュースを手掛けた。

「同じテーマの作品をクロスメディアで製作することで、多方面への三位一体の提案ができます。私のものづくりの指針は、明確な¨志¨があること。そして、作り手側も受け取る側も幸せになれることです」

写真左:愛用のCanon EOS 5D II。潜水時は、これに耐圧や防水のプロテクターを装備して使用する  写真右:『洞爺湖物語』3部作。上から写真集(北海道新聞社刊)、DVD、CD(メディアライズ制作)

新作『水族館物語』で水槽を泳ぐ魚を撮影

同プロジェクトの第2弾が、札幌・サンピアザ水族館の魚たちを主役にした『水族館物語』。今回はDVD、CD、絵本の3部作で、いずれも発売になったばかりだ。その音楽と映像を、この7月から4カ月間、AIRDOの機内オーディオで楽しむことができる。

田中さんが実際に水槽の中に入って撮影した映像もあり、「水中写真を撮る時に一番大切にしなければならないのは、生き物に脅威を与えてはいけないということ。こちらが訪問者として、お邪魔して撮るわけですから」

さらに、海中では環境を壊さないことが大前提。田中さんが使用する潜水機材は、排気を水中に出さずに循環して呼吸できる特殊な構造だ。海中生物を脅かさないように、なるべく泡を排出しないものを追求した選択という。

高校時代から写真部に所属。水中撮影に挑戦したきっかけは、約40年前、学生時代に訪れた沖縄・渡嘉敷島の海中。「ああ、竜宮城って本当にあるんだ、と。感動であふれた涙がみるみるシュノーケル用マスクの中に溜まって。この世界を写真で伝えたいと、その時強く思ったんです」。まだ見たことがない人に見せたい「心揺さぶられる景色」が、いつも仕事の根底にある。

写真左:DVD『水族館物語』田中正文撮影・太田亜紀子演奏(¥1,944) 写真中央:絵本『すいぞくかんものがたり』田中正文・柳瀬美保著(¥1,080) 写真右:CD『組曲 水族館物語~サンピアザの愉快な仲間たち』太田亜紀子作曲・演奏(¥1,620)

PROFILE

田中正文(たなか・まさふみ)

1959年、旭川市生まれ、千葉県育ち。大正大学哲学科卒業後、(株)経済界入社。取材記者を経て独立し、文筆活動を続ける。1988年に水中写真を始め、91年に潜水士免許を取得。94年に沖縄県に移住し、撮影オフィス「Studio Coral」設立。98年、仕事の拠点を東京に移す。約5年間のメキシコでの撮影を経て、2008年4月より洞爺湖町に移住。09年に北海道沿岸に沈む戦没船の慰霊・調査を行う「プロジェクト1708プラス」を立ち上げる。10年、壮瞥町洞爺湖温泉の「湖畔の宿 洞爺かわなみ」内にギャラリー「田中正文写真館」開館。

DATA

DVD『水族館物語』の舞台となったサンピアザ水族館へ出掛けてみませんか?
田中氏の作品のモデルになった魚たちに出合えます。

札幌市厚別区厚別中央2-5-7-5
TEL:011・890・2455
10:00〜18:30(受付は18:00まで)
※詳細は要問い合わせ
高校生以上¥900、3歳以上中学生まで¥400ほか
交通:JR新札幌駅より徒歩3分
http://www.sunpiazza-aquarium.com

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:齋藤義典

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2015年7月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年6月1日時点の内容です

raporaはAIRDOが発行する機内誌です。
最新号はぜひ機内でお楽しみください。

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