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カヌーガイド/屈斜路ガイドステーションわっか代表 木名瀬 裕さん

2015年8月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年7月1日時点の内容です

川を水路に、カヌーで森の中に入る自然体験

道東の屈斜路湖を源とする釧路川をベースに、国内外で精力的な活動を続けるカヌーガイド、木名瀬裕さん。
震災の復興支援活動に携わる中でより深く考えるようになった「人々の暮らしが自然と共にあること」を、カヌーでの川下りを通して伝えている。

人の暮らしと自然の距離を縮める

雄大な釧路湿原を、蛇行しながら流れる釧路川。その源・屈斜路湖を抱く弟子屈(てしかが)町でカヌーガイドを営むのが、屈斜路ガイドステーションわっか代表の木名瀬裕さんだ。

「北海道内に109ある一級河川のうち、唯一、ダムや堰堤(えんてい)がないのが釧路川なんです。景観が良く、水がきれいで魚もたくさん泳いでいます」と、その魅力を語る。

名刺にも書かれている木名瀬さんの愛称は「がってん」。由来を聞くと「たぶん、勢いのある子供だったのかな」。高校1年の時に、自転車で埼玉から沖縄までを走破。翌年は北端を目指し、徒歩で約2カ月間、北海道を旅して回った。さらに翌年は「海外も見てみたい」という好奇心から、1年間、イタリアのナポリへ留学。あだ名通りの、人並み外れた行動力だ。

北海道旅行中に出会った斜里町のハンターに弟子入りし、20歳の時に北海道へ。修業の傍ら、猟期外の期間に知床や然別(しかりべつ)でアウトドアガイドの仕事を手伝ったことが、現在の道に進むきっかけになった。

写真左:木名瀬さん愛用のカナディアンカヌー「オールドタウン」は重量30㎏以下で運びやすいそう。パドルは長さと用途の違うもの2本を積む
写真右:ライフジャケットにつないであるホイッスル。カヌーガイド同士は会話の代わりに笛で合図を送り合う

1年のうち約80日は水の上

1995年、阪神・淡路大震災のボランティア活動に3カ月間参加。大きな街が一瞬にして消え、それまで当たり前にできていた煮炊きすらままならない現実を目の前にして、「もっと人と自然の距離を近づけて、暮らしを見直せる場を作れたらと考えたんです」

仲間と高知県の四万十川沿いにカヌートレックの事務所を立ち上げた後、96年に北海道へ戻り「わっか」の前身となる活動をスタート。当初は3泊4日かけて川を下るリバーキャンプ専門だったが、「子供からお年寄りまで一緒に、自然に親しめる形が理想」と、04年に「わっか」を設立し、初心者向けに短時間の体験ツアーも取り入れた。

現在はガイドの要望があれば国内外どこへでも赴き、この9月はカナダへ。「ほぼ1年中外にいて、多い年だと80日間くらい水の上にいます。ほとんど¨水上生活者¨ですね」と笑う。

元々は軽飛行機の格納庫だったという現在のガイドハウスの建物は、牧草のブロックを積み重ねて4カ月がかりで手作りした¨ワラの家¨。建物の中に入るとひんやり涼しく、「夏は天然のクーラーボックス。冬は逆に暖かいんですよ」。水は井戸水。敷地内には畑や鶏小屋があり、羊もすんでいる。

ここを拠点にしたカヌーやゴムボートでの川下り体験を通して「自然は天気に左右されるし、川は常に動いているもの。予定通りにいかないのもまた楽しいことだと、伝える仕事です」

写真左:ゴムボートで釧路川源流を下るツアー風景から。ファミリーで一緒に楽しめる
写真中央:ガイドハウスに飾られた木製の櫓。東日本大震災の復興支援で現地を訪れた際、島に流れ着いた物を贈られた
写真右:牧草ブロック450個を積み上げて造ったガイドハウス。敷地は以前、軽飛行機の滑走路だった

PROFILE

木名瀬 裕(きなせ・ひろし)

1969年、神奈川県生まれ。埼玉県の高校を卒業後、88年から知床や然別などでアウトドアガイドの仕事を手伝うようになる。96年5月、カヌーガイドとして釧路川をベースに活動する「VOICE OF WIND」を立ち上げ、2004年に名称変更して「屈斜路ガイドステーションわっか」を設立。指導者としてカヌーガイドの育成にも携わり、現在はアウトドアガイド資格の審査員も務める。11年の東日本大震災時には、復興支援のため被災地へ。現在に至るまで支援活動を続けている。

DATA

屈斜路ガイドステーションわっか

北海道川上郡弟子屈町札友内87-2
TEL:015・482・2484
8:00~19:00
料金:釧路川ネイチャーボート(90分)大人¥4,800、子供¥3,000、
釧路川ネイチャーカヌー(90分)¥5,600~※2015年は11/8(日曜日)まで、催行除外日あり
交通:女満別空港から車で約1時間10分、たんちょう釧路空港から車で約1時間20分
http://www.wakka.biz

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:齋藤義典

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2015年8月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年7月1日時点の内容です

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最新号はぜひ機内でお楽しみください。

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