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地図のプロ/北海道地図株式会社 専務取締役 小林 毅一さん

2015年10月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年9月1日時点の内容です

創造性あふれる地図の世界

地図技術の最先端を走る会社が、北海道旭川市にある。営業マンとしてその市場を開拓しながら、地図のプロとしてジオパーク活動に携わる小林毅一専務を訪ねて、仕事の魅力や現在進行中のプロジェクトについてうかがった。

感性を取り入れる「超鳥瞰図(ちょうちょうかんず)」

地図の専門メーカー「北海道地図株式会社」。世界に先駆けてGPS式カーナビゲーションシステムを開発した会社であり、業種と社名からバリバリ硬派な印象を抱いて旭川本社を訪れた。
けれど、社内に今春新設されたショールームに案内され、そのイメージは大きく覆された。床一面に広がるのは、10×7.5mの日本ジオパークマップ。 旭川の夕景の鳥瞰図を360度パノラマで体験できる装置や、3Dプリンタで出力された立体模型があり、さらには地図のパズルやペーパークラフトなどの玩具も。見ているだけでわくわくする"楽しい地図の世界"が、そこに凝縮されていたからだ。

子どもたちに少しでも地図に興味を持ってもらうことで、自分が住む町や国について知り、考えるきっかけになれば」と専務取締役の小林毅一さん。社内きってのアイデアマンで、ショールームの仕掛け人でもある。
小林さんが入社した80年代前半、地図は紙製が主流で、取引先も官公庁やゼネコンが主体だった。「新入社員は必ず、3カ月の研修期間に製図台で地図を手描きする作業を経験しましたね」。やがて携帯電話とパソコンの普及でマップのデータ化が進み、民間企業からのニーズが増えて、現在に至る。
その中で、営業マンとして働く小林さんが「他にない地形表現を」と取り組んだのが「超鳥瞰図」。
通常の俯瞰(ふかん)地図に、森や林、川、残雪などの質感表現を加えた物で、正確な地図でありながら、絵画的な要素も持つ。「細かい部分は手作業で仕上げるアナログなので、人間の感性が必要なんです」。この超鳥瞰図は、08年の北海道洞爺湖サミット時に、会場に配する地図として採用された。

写真左上:旭川本社のロビー。会社の沿革とさまざまな開発品が展示されている。「超鳥瞰図」も掲示
写真左下:事前予約制で一般開放している「日本ジオパーク・ショールーム」
写真右:ショールームには、日本全国の地図に関する書籍や、子どもたちが組み立てて遊べるペーパークラフトなども設置。社会見学なども受け入れている

住む町の素晴らしさと自然の魅力に気付いて

ここ数年、小林さんが地図のプロとして深く関わっているのが、日本全国で進められているジオパーク活動だ。「自分たちの町の素晴らしさに、住んでいる人は案外気付いていないものです。例えば、美瑛(びえい)町の丘がなぜあんなに美しいのか。そこには先住民の尽力が必ずある。化石や岩などの自然遺産と地形の成り立ちを、地元の人が理解して発信していく事が、地域振興につながると思います」
国内36地域にあるジオパーク全てに足を運んでいる小林さん。
「異業種の人々と交流しながら、コミュニティを作っていくのが面白いんです」。現在は、製菓業者と共同開発する"食べる地図"を試作中。豊かな発想力とバイタリティーで"これまでにない地図のあり方"を切り開いている。

写真左:現在、静岡県の製菓店と共同開発中の「アメ地図」。地図の上に立体的なべっこう飴を置き、雪や噴火などを購入者がデコレーションできる仕掛け
写真右:ジオパークを訪れる際に小林さんが持参する、マイラベル「地王=ジオ」の日本酒

PROFILE

小林毅一(こばやし・きいち)

1961年、上川郡下川町生まれ。札幌学院大学卒業後、1983年に北海道地図株式会社に入社。営業畑一筋に歩み、岩手県、千葉県などの赴任地を経て1996年に東京支店長に。2012年に専務取締役に就任。現在は東京都在住で、講演などで国内外を飛び回る。全国のジオパークに造詣が深く、ことし4月に推進協議会が発足した、十勝岳山麓ジオパーク構想にも携わる。趣味はガーデニングで、休日はカサブランカなど花の栽培に勤しんでいるそう。

DATA

北海道地図株式会社

旭川市台場1条2丁目1-6
TEL:0166・61・5531
8:30 〜 17:30(ショールーム見学は要予約)
休日:土曜日、日曜日、祝日
http://www.hcc.co.jp/

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:齋藤義典

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2015年10月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年9月1日時点の内容です

raporaはAIRDOが発行する機内誌です。
最新号はぜひ機内でお楽しみください。

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