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料理人/chioben(チオベン)代表 山本 千織さん

2015年12月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年11月1日時点の内容です

独創性あふれるお弁当

今、東京の雑誌や映像の撮影現場を中心に多くのファンを持つケータリングの弁当が、道産子の女性料理人が作る「チオベン」だ。札幌の料理店で20年以上働いたキャリアの全てを生かし、「他にない味」を届ける料理人のアトリエを、都内に訪ねた。

プレートのように盛り付ける

画家がキャンバスに、作曲家が五線譜に向かうように、料理人にとっての弁当箱は作品表現の場なのだ。「チオベン」代表の山本千織さんが作る、独創性にあふれたお弁当は、そんな認識を新たにさせてくれる。

5人姉弟の長女として生まれ、高校時代から料理は日常の一部だった。札幌で10年以上営んだ人気店「ごはんやはるや」を妹に任せ、2009年に上京。知人から「店を任せたい」との誘いがあってのことだったが、「その物件探しが、思うように進まなかったんです」

そんな山本さんに「店を貸すから、お昼に弁当でも売ったら」と声を掛けてくれたのが、知人であるバーの店主だった。「通常は閉めている時間帯なので使ってくれて構わないけれど、食器がないから料理は出せないよ」と。

そこで、自宅で仕込んだお弁当を運びこみ、販売を開始したのが11年のこと。店名もなく、いつしか常連客が"千織さんが作る弁当"を略して「チオベン」と呼び始めたのが現在の屋号で、「自分で名付けたものではないんです」。フリーランスの編集者やデザイナーなどが多く訪れ、そのうち「仕事の現場に配達してほしい」とケータリングの要望が増えて、今に至る。

チオベンの器には、仕切りがない。プレートのように盛り付ける「ワンプレートの料理と同じ感覚で、皿に盛り付けるように10種類前後のおかずを配置します。汁気が多い物は不向きなので、タレに漬け込むなど下味をしっかり付けるようにしていますね」。

写真左:スープ付き¥1,620の弁当の一例。この日のおかずは、ナシとバジルと生ハムの春巻、紫芋とナスの揚げ出し、白ゴーヤのナムル、鶏肉の松風焼きなど計10品。野菜もたっぷり使う
写真右:山本さん初の著書「チオベン 見たことのない味 チオベンのお弁当」(マガジンハウス刊)¥1,620

コクとうま味のソースでおかずの味をつなげる

人気の「たこめし」や、中の具材が多彩な「春巻」など、多くが札幌時代からのレシピのアレンジという。家庭料理がベースだが、エスニックの調味料も取り入れ、フードプロセッサーを駆使して作る様々なソースを加えることでコクとうま味を出し、「素材と味をつなげていく」のがポイントだ。

50個、80個という単位の注文が続く中で、仕込み以上に頭を使うのが食材の仕入れ。「北海道と違って、欲しい魚が手に入りづらいので、魚介は築地(つきじ)で実際に見て選びます」。大半の食材は、最寄りのスーパーで前夜に購入。「毎日すごく長い間、店内をぐるぐる回って考えながら大量に買うので、周囲から見たら私、絶対変な人だと思われてますよ」と笑顔で語る。

それだけ時間を費やす根底にあるのは「食べる人にとっては、お弁当も1日のうちの大切な1食」との思い。前回の注文とおかずが重複していないかにも気を配る。チオベンが届ける弁当箱には、作り手の愛も詰まっているのだ。

写真左:札幌時代から使っているレシピノート。変色してしまったページもあり「スタッフからは『古文書』と言われているんですよ(笑)」
写真右:「米油」や「藻塩」をはじめ、好んで用いる調味料の一部。「米油は、酸化しにくいのが特徴」という

PROFILE

山本千織(やまもと・ちおり)

北海道山越(やまこし)郡長万部(おしゃまんべ)町生まれ。北海道女子短期大学卒業後、札幌市内の飲食店勤務を経て、1998年より妹と共に、「ごはんや はるや」を営む。2009年に上京。'11年に「chioben」を開業し、手作り弁当の販売を始める。バリエーション豊かなおかずと、既成概念に縛られないスタイリングが話題を呼び、口コミで人気が広がって現在に至る。現在は、主に雑誌やテレビの撮影現場や企業の会議室などへ弁当を届ける他、パーティーやレセプション会場へのケータリングなど活動の幅を広げている。

DATA

chioben

e-mail/chioben.info@gmail.com
※注文受付はメールのみ。弁当の基本料金は1つ¥1,080、¥1,296、¥1,458、¥2,160の4種類。別途、バイク便による配送料あり(店舗での販売、個人宅へのケータリングは行っていません)

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:尾嶝太(尾嶝写真事務所)

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2015年12月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2015年11月1日時点の内容です

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