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高野ランドスケーププランニング/代表取締役 村田周一さん

2016年8月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年7月1日時点の内容です

「気持ちいい空間」を造る

1975年設立の建設コンサルタント会社が本社を東京から北海道に移転したのは1990年。「デザインと創造性」「参加型公園づくり」「森とエコロジー」を3本柱に、世界中でプロジェクトを展開する会社の代表を訪ねた。

「十勝千年の森」が原点

取材日は朝から雨だった。札幌の中心部から少し離れ、訪ねた高野ランドスケーププランニングのオフィスは、庭のある一軒家。代表取締役の村田周一さんが「僕、雨男なんですよ」と教えてくれた。公園をはじめ屋外施設の設計を数多く手掛ける仕事柄、「現場スタッフからは『天気が崩れるから来ないで』と真剣に言われます」

両祖父が共に大工で、幼少期から建築現場で遊び育った。建築設計の仕事を志していたが、東京での高校時代に「立派な高層ビルを建てても、古くなったら壊されると気付いて。自然が好きだったし、森林について学び、長く残る庭園や公園のランドスケープデザインに進もうと思いました」と語る。京都で過ごした大学時代は、主に日本庭園や歴史的建造物を見て歩くことに時間を費やした。

村田さんの入社当時は本社が十勝にあり、それまで未訪だった北海道の大自然に抱かれた暮らしがスタート。1年半後に初めて設計を手掛けたのが「十勝千年の森」で、5年以上携わった印象に残るプロジェクトだ。「自然との共生」をコンセプトに、英国人ガーデンデザイナーのダン・ピアソンらと共に造り上げた貴重な経験は、「自分の原点ですね」と振り返る。

その後、サモア独立国の植物園改修や、カタールの国土計画などオファーは多岐にわたるが、目指すのは常に「かっこいい空間ではなく、気持ちいい空間」。そして、居心地がいいと感じてもらうためには、デザインの上で「おおらかさ」が重要なポイントという。

例えば「あさひかわ北彩都(きたさいと)ガーデン」は、「街中にリゾート・オアシスを」との思いで設計に取り組んだ。「外で過ごす時間が生活の潤いになれば」と話す。大木の陰にベンチを配し、草花に包まれて過ごせるテラスを造り、旭川の中心部にありながら、ゆったりとした時間が流れるスポット。ことし、日本造園学会賞を受賞した。

写真左:2009年、カタールでの仕事の際に作った、アラビア語の名刺。ラクダの置物は、その時に買ってきた思い出の品
写真中央:図面を描く際に使う愛用の仕事道具から、三角スケール、赤青鉛筆、トレーシングペーパー。ペーパーナイフは仕事でマレーシアを訪れた際に購入した
写真右:日本造園学会賞を受賞した際に授与されたメダル

北海道だからできる「食」がテーマの庭

現在手掛けているのは、この8月に道南・七飯(ななえ)町にオープンする「大沼 鶴雅オーベルジュ エプィ」のガーデン。北海道の花だけでなく、レストランで実際に使用するハーブや野菜も育ち、香りを楽しめる「おいしい庭」を造るという。「食と屋外を結び付けた施設には、以前から挑戦したいと思っていました。食材の豊かな北海道だからこそできること」と村田さん。

当面多忙な日々は続くが、「いつか子どもができて、自分が設計した公園で遊んでいるところを見たら、きっと泣いちゃうでしょうね」とつぶやいた。

写真左:高野ランドスケーププランニングが設計を担当した「あさひかわ北彩都ガーデン」。JR旭川駅の裏手に広がる、街中のリゾート・オアシスのような美しい空間で、緑と草花に包まれ、ゆったりとした気持ちで過ごせる
写真右:ランドスケープ従事者による韓日サッカー大会に出場した際の代表ユニフォームと、試合のDVD

PROFILE

村田周一(むらた・しゅういち)

1979年、東京都生まれ。京都大学農学部生産環境科学科卒業。2002年に高野ランドスケーププランニング(株)入社。05年に取締役就任、11年より現職。技術士(建設部門:都市及び地方計画)、RLA(登録ランドスケープアーキテクト)有資格者。これまでに手掛けたプロジェクトは、上川郡清水町「十勝千年の森」、同郡上川町「大雪 森のガーデン」他、国内外で多岐にわたる。ことし5月、旭川市「あさひかわ北彩都ガーデン」で日本造園学会賞を受賞した。

DATA

高野ランドスケーププランニング株式会社

札幌市中央区北20条西15-7-21
http://www.tlp.co.jp

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:齋藤義典

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2016年8月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年7月1日時点の内容です

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