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木工作家/チエモク代表取締役 三島千枝さん

2016年10月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年9月1日時点の内容です

道産材を生かした木の雑貨

眺めているだけでも楽しくなる、木の雑貨を北海道産の木材で作る会社が、札幌にある。「木のいのちも喜ぶ木製品づくり」を目指す、代表の女性木工作家を、製作工房に訪ねた。

木の価値を高める物作りを

爪の先ほどの小さな黒板消し。それが「チエモク」代表取締役・三島千枝さんの、木工作家としての原点だ。

1階は家具職人の父親の作業場、2階が自宅という環境で育ち、幼いころから木は身近にあった。「でも、自分が職人になるとは思っていませんでしたね」。百貨店に就職し、既製品を販売する立場になって初めて「本当にいいと思えるものを、自信を持って売りたい」と考えるようになった。

退職して25歳で弟子入りするも、父親は半信半疑。素人がすぐに家具製作を手伝わせてもらえるはずもなく、雑用の日々が続いたという。彫刻刀に慣れる修業のつもりでドングリなど小さい木の実を彫り始め、その後、カンナや金づちの他、ミニサイズの「道具シリーズ」に移行した。

それが工房を出入りする人の目に留まり、2003年に初めて正式に商品化されたのが「黒板消しストラップ」。携帯電話に付けて液晶画面を拭くことができる実用性もあり、話題を呼んだ。それをきっかけに、名刺入れやスプーンなど、木を使ったさまざまな雑貨の製作をスタート。結婚を機に独立し、08年に「チエモク」を設立した。

北海道産の木材を主として使い始めたのは、独立後のこと。「ナラやサクラが美しいのは木工の現場では当たり前。そうじゃない木を生かすのも面白いかなと思いました」と三島さん。現在はシラカバやハンノキ、ホオノキなどを使用し「森で何百年と生きられたかもしれない木の命を頂いていることを忘れずに、その価値を高められるような物作りをしていきたい」と話す。

写真左:三島さんの仕事道具である愛用の彫刻刀。職人としての修業は、刃物を砥石(といし)で研ぐところから始まった
写真右:カラフルな「黒板消しストラップ」の布張り作業を進める三島さんの手元。木の持ち手部分に接着剤で留めていく

丁寧な手仕事で木の魅力を発信

3年前にオープンした札幌市内の直営店では、バリエーションに富んだチエモクの商品に触れることができる。木の食器が並ぶコーナーには、三島さんが作ったパスタなどの料理を皿に盛った使用例のイメージ写真も。「木の器は耐久性に不安を感じる方もいらっしゃいますが、塗装のテストを繰り返して、長く日常使いできるように仕上げています」

赤ちゃんがグーで握って使えるベビースプーンをはじめ、贈答品への「名入れ」も可能。三島さんの在店日は、その場で入れてもらえる。また、経年使用で壊れたストラップなどの修理にはできる限り応じているそう。

「『気がつくと家の中にチエモクの物がいっぱい』とお客様に言っていただけるように、今後は照明やスツールなどの小家具にも挑戦してみたいですね」。作品のサイズもチエモクも、現在進行形で少しずつ大きくなっている。

写真左:ショップの店頭ディスプレーより。手前は道産のシラカバやミズナラなどのシートを表紙に使った「北海道の木のノート」各¥756。皿やマグカップ、スプーンなど木製の食器も多彩にそろう
写真中央:工房の棚で乾燥中だった「赤ちゃんスプーン」。握りやすい持ち手の形状にこだわって製作した
写真右:2016年8月に発売した新商品「両面ポストカードフレーム」¥2,592。タテヨコどちらでも使用でき、贈り物やお土産にも人気

PROFILE

三島千枝(みしま・ちえ)

1974年、札幌市生まれ。北海道大学教育学部卒業後、約2年半の百貨店勤務を経て、99年、父親が営む「三島木工」に弟子入り。2000年、チエモクの前身となる「空沼工房」を三島木工内に立ち上げ、オリジナル作品の製作を始める。08年、独立して「チエモク株式会社」を創設し、札幌市北区に工房を開設。13年6月、直営店である「オトナとコドモの木雑貨Chiemoku」をオープン。木製の食器やステーショナリー、アクセサリーなど、200種以上の自社製品を販売している。

DATA

オトナとコドモの木雑貨 Chiemoku

札幌市中央区南2条西23-1-27 チサンマンション円山裏参道1F
TEL:011・676・3015
11:00~18:00(1~3月は17:00まで)
休日:月曜日(祝日は営業)
http://www.chiemoku.co.jp

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:齋藤義典

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2016年10月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年9月1日時点の内容です

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