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ヴァイオリニスト/札幌交響楽団コンサートマスター 大平まゆみさん

2016年12月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年11月1日時点の内容です

聴く人の心に幸せを運べたら

天然木から作られたヴァイオリンの音色は空気を振動させて耳に届き、人の心を魅了する。コンサートマスター就任を機に札幌に移住し、音楽活動を続けるヴァイオリニストを訪ねた。

高校の卒業演奏会が転機に

もしも「音」が目に見えたとしたら、この人の奏でる音は、明るくてほんわり温かい黄金色の光を放っているのではないか。ヴァイオリニスト・大平まゆみさんのソロコンサートを初めて聴いた時、そんな印象を受けた。

1998年、札幌交響楽団(札響)のコンサートマスター就任と同時に北海道に移住した大平さんは、故郷・仙台でのヴァイオリンとの出合いを鮮明に覚えている。「庭で遊んでいた時、変わった音が聞こえてきたのでたどっていくと、隣のお姉さんがヴァイオリンを弾いていて。すごく楽しそうで、私も習ってみたい、と母に言いました」。それが4歳の時のこと。

と聞けば、そこから音楽ひと筋と想像しがちだが、「スポーツも大好きで、中学までは本気でオリンピックを目指してバレーボールも続けていたんですよ」。東京の音楽高校に進んだ後もなお、将来の道を決めかねていたという。

迎えた高3の卒業演奏会。ステージ上でバッハの「シャコンヌ」を独奏中、これまでにない不思議な高揚感に包まれた。「聴き手と『気』が合ったというのか、会場の空気をつかめたような感覚がありましたね」。ヴァイオリニストを志そうと決めた瞬間だった。

写真左:ヴァイオリンケースに入れて常に持ち歩く、家族や愛犬の写真。ゴールデンレトリーバー犬との約1時間半の散歩が日課という
写真右:母親から譲り受けたガーネットの指輪。お守りとして演奏中以外はいつも着けている

伝わる演奏を目指し語り掛けるように弾く

高校卒業後の留学から10年以上は、アメリカを拠点にソロやカルテットでの音楽活動を続け、オーケストラへの本格的な参加は20代後半から。「調和を重んじるオケでの演奏と、臨機応変にアドリブ可能なソロとでは、求められるものが全く違います」と話す。

札響の演奏をリードするコンサートマスターは、指揮者とメンバーとのパイプ役。「大人数になるほど、円滑なコミュニケーションが良い演奏につながるんですよ。そこに気を配る仕事ですね」

現在は並行して精力的なソロ活動を続け、多い時は合わせて年間200以上ものステージをこなす。

肌身離さず持ち歩くヴァイオリンは、約30年前、楽器店で偶然目にしたそう。「一生の宝物であり、生涯最高の出合い。強烈に惹(ひ)かれて『これが欲しい!』と思い、弾いてみる前に購入を決めていました。私にとって音色は声と同じ。魂そのものです」

だからこそ、語り掛けるように弾くことを大切にしている。「最近、自分の口と同じ高さで弦をこすると、より話すように弾けることに気付きました」。キャリアを重ねた現在も、毎日のように新しい発見があるという。

常に「伝わる演奏」を心掛け、「聴く方に、音色で幸せを運ぶことができたらいいなと思っています」

写真左:30年近く使用しているヴァイオリンは、1710年、イタリア・ミラノ製の「グランチーノ」。300年以上の歴史を持ち、「演奏家が優れた楽器に育てられるというのは本当だなと思います」と大平さん
写真右:今年7月にリリースした6枚目のCD「木漏れ日 こころの歌」。「ふるさと」「荒城の月」など全26曲、日本の歌を収録したもの

PROFILE

大平まゆみ(おおひら・まゆみ)

1957年、仙台市生まれ。東京芸術大学附属音楽高等学校卒業、同大学入学3カ月後にサンフランシスコ音楽院に招待留学。卒業後、同音学院とスタンフォード大学の講師を務める傍ら、スタンフォード弦楽四重奏団、フィラデルフィア弦楽四重奏団のメンバーとして世界各地で公演。多数のオーケストラでゲストコンサートマスターを歴任し、98年、札幌交響楽団のコンサートマスターに就任し現在に至る。2014年に初のエッセイ『100歳まで弾くからね!』を出版。病院や施設での演奏、講演会などソロ活動も精力的に行っている。

DATA

「クリスマスディナーコンサート」

12月19日(月)
「バロック〜タンゴ 情緒と情熱のクリスマス」
12月20日(火)
「癒しとノスタルジーのクリスマス」
会場:コーチャンフォー新川通り店
「レストラン&カフェ インタリュード」
18:00開場、食事の後に19:30開演
料金:チケット¥7,200
問合せ:TEL:011・769・3333
HP:www.mayumi-oh.com

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:守澤佳崇 撮影協力:札幌コンサートホールKitara

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2016年12月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年11月1日時点の内容です

raporaはAIRDOが発行する機内誌です。
最新号はぜひ機内でお楽しみください。

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