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日糧製パン(株) 製造本部 製パン部 食パンフランスパン課長/高松英司さん

2017年3月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2017年2月1日時点の内容です

北海道の食材でおいしいパンを

スーパーの食パンコーナーで日々目にする、青と白のパッケージが「絹艶」。1943年に創業し、札幌に本社を構える日糧製パンの主力商品だ。現在、その食パン生地の配合を日々研究し、商品のレベルアップに取り組む担当者を、本社工場に訪ねた。

細かい数値の記録は必須

白い制服のポケットから、手のひらサイズの電卓が出てきた。「仕事道具として、日々持ち歩いている物を見せてください」と、高松英司さんにお願いした時のことである。

高松さんは現在、札幌に本社を構える日糧製パンの製造本部 製パン部の食パンフランスパン課長として、同社の主力食パン「絹艶」シリーズを担当。パンの品質を左右する、パン生地の工程管理は、課長自身が行うという。

「例えば季節や天気により調整が必要な加水量や発酵時の温度・湿度の管理など、微妙な数字の違いが商品の味に大きく影響します。常に数値を計算し、データを細かく記録することが必要なんです」と高松さん。筆記用具も常に携帯し、食パン担当になってからの記録ノートはことし3冊目に入った。

初代「絹艶」の発売は2005年。「しっとり感」と「柔らかさ」を兼ね備え、「毎日食べても飽きない食パン」を目指して開発され、大ヒットした。以後、「もっとおいしく」とリニューアルを重ね、現在は、北海道産小麦100%、生クリームも上白糖も道産を用いる「絹艶北海道」と、最高級の小麦粉を使用し、しっとり食感と甘みのある生地を実現した「絹艶プレミアム」がシリーズに加わっている。

写真左:入社当時、自分で購入したパンに関する参考書籍。「特に料理好きでもなく、家でパンを焼いた経験もなかったんです」
写真中央:入社後の約10年間はバゲットやカンパーニュなど、少量生産のフランスパン部門を担当。写真は北海道産小麦を用いたシリーズ
写真右:常に持ち歩く電卓と手帳。「電卓は使い過ぎて壊れるので、何代目かの物です」。データ記録が肝心だそう

パンは仕込みが8割 味を常に一定に保つ

パンは仕込みが8割、が高松さんの考え。「食パンは毎日口にされる方が多く、シンプルな分、味のごまかしが利きません」。農産物の小麦は、同じ銘柄でも年ごとに収穫量も品質も異なる。それでも商品のブランドを守るためには「いつも同じ味とクオリティーで出荷することが大切です」。若いころに、自分が一瞬目を離した隙に発酵時間がオーバーして商品にならず、出荷できなかった苦い失敗経験もあり、今に役立っている。

昨夏のリニューアル前は、生地の配合を少しずつ変え、発売ギリギリまで、毎週3種ずつ社内での試食が繰り返された。「でも、そうして自分が考えた結果生まれた商品が棚に並んで売られているのを見ると、うれしいんですよ」

一般家庭で複数の種類の食パンを一度に購入する機会はあまりないかもしれないが、同時に食べ比べてみると、3種の「絹艶シリーズ」は、味も食感もそれぞれに違うことがよく分かる。その裏側には、担当者による日々の研究の積み重ねがあるのだと実感した。

今後の目標を尋ねると「今までにない、新しいタイプの食パンを作ってみたいですね」と高松さん。試作の日々は、これからも続きそうだ。

写真左:厚切2枚からサンドイッチ向け10枚入りまで発売中の「絹艶」シリーズ。手前のグリーンのパッケージが北海道産小麦100%の「絹艶北海道」。ちなみに最も売れているのは6枚入り
写真右:「ラブラブサンド」や1990年代に大ヒットした「チーズ蒸しパン」ほか同社の人気商品

PROFILE

高松英司(たかまつ・えいじ)

1979年、札幌市生まれ。高校卒業後、製造のアルバイトを経て、2000年に日糧製パン入社。約10年間製造本部製パン部でフランスパンの製造を担当し、2010年、北海道のパン職人団体が主催する「第2回北海道バゲットコンクール」で北海道知事賞を受賞。同年、パン開発部に異動し、主に菓子パンの商品開発に携わる。16年より現在の課で食パン部門を担当し、昨夏の「絹艶北海道」「絹艶プレミアム」のリニューアルに尽力した。

DATA

日糧製パン株式会社

TEL:011・851・8131
札幌市豊平区月寒東1条18丁目5-1
http://www.nichiryo-pan.co.jp

編集:(株)KADOKAWA 文:矢代真紀 写真:齋藤義典

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2017年3月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2017年2月1日時点の内容です

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