cat_title_special.jpg

山を愛する人たちの小さなミュージアム「北のアルプ美術館」 [斜里町]今、北海道の博物館が面白い!北海道ミュージアム巡り

2017年1月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年12月1日時点の内容です

写真1:冬の空に気高くそびえる斜里岳。山崎さんが早朝の散策で見るたびに感動を覚えるという風景
写真2:著書で、「山には、自分をさらけだす自由がある」と語った、串田の知の世界を再現した書斎
写真3:『.アルプ』の影響を受けて写真を撮るようになった山崎さんの写真集。冬の海をテーマにした作品が多い
写真4:展示室に飾られた『アルプ』に寄稿された生原稿や版画、絵画。一つ一つに丁寧な手仕事のぬくもりが漂う
写真5:月刊誌『アルプ』の表紙は串田自身や版画家の大谷一良の作品。館内では5万点以上の生原稿や原画が保存されている
写真6:建物は、旧三井農林斜里事業所社員寮を山崎さんが手を掛けて改築した

1958(昭和33)年3月に創刊され、300号で終わるまで、登山愛好家や写真家、詩人、画家など、山を愛する人たちが憧れた一冊の雑誌があった。

A5版サイズ、約70ページの月刊誌『アルプ』。1983(昭和58)年の終刊から30年以上たった今、『アルプ』は世界自然遺産・知床半島の片隅で、美術館として訪れる人に扉を開いている。

この小さなミュージアムの守り人、館長の山崎猛さんは、若いころに偶然『山のパンセ』を読んで哲学者・串田孫一を知り、山の書のようでどこか違う、生きる上での道標のような珠玉の言葉に惹きつけられた。串田が責任編集する山の文芸誌『アルプ』が創刊されると、東京から毎月届く『アルプ』への思いは募り、いつしか串田や編集長の大洞正典、版画家・大谷一良ら、〝生きたアルプ″に接する幸運にも恵まれ、終刊すると知った時、美しい知床連峰がそびえる斜里町に「北のアルプ美術館」を建てることを思い立つ。

たった一人の読者の熱意は、まるで年月をかけて一枚の織物を完成させるように、多くの人々の手を借り、構想から10年、1992年「北のアルプ美術館」として結実した。

昭和半ばに建てられた古い社員寮は、人の営みを蓄えるのにとてもよいたたずまいをしていて、館内では東京の自宅からそのまま移設した串田の書斎が、まるで展示の主賓のように客人を迎える。ここは温かい血の通った人間らしい知性と向き合える美術館であり、旅人にとっては、静かな冬に包まれた知床半島で日常から解き放たれる、美しい魂の聖地でもある。

北海道では、2016年に知床の世界自然遺産登録10周年を節目に、登録年の流氷接岸初日、1月30日を「世界自然遺産・知床の日」と定めています。

DATA

北のアルプ美術館 [斜里町]

北海道斜里郡斜里町朝日町11-2 アルプ通り
TEL:0152・23・4000
10:00 〜 17:00(11月〜5月〜 16:00)
休日:月曜日、火曜日※12月〜 2月は基本休館ですが、事前に連絡があれば開館
料金:入館無料
※暖かい服装でお越しください
交通:女満別空港より車で約1時間
http://www.alp-museum.org

今、北海道の博物館が面白い!北海道ミュージアム巡り 記事一覧へ

1701cover.jpg

2017年1月号 AIRDO機内誌「rapora」掲載
※情報は2016年12月1日時点の内容です

raporaはAIRDOが発行する機内誌です。
最新号はぜひ機内でお楽しみください。

TOPへ